憧れの彼と恋する方法
廊下の椅子に座り直し考え込んでいると、何処からか視線を感じた。
ふと見上げると、少しだけ開いた控え室のドアから顔だけを外に出して私を見ている舞美の姿があった。
「てか舞美怖いしっ!」
ニヤッと怪しい笑みを浮かべた舞美は、そのままドアを閉め再び控え室の中へ入って行った。
何なんだ?あの企み笑いは…変な舞美。
その後も撮影はいつも通り順調に進み、本日の仕事も終了。
いつもの様に帰りは終電ギリギリだった。
「ただいま」
誰も居ない部屋のドアを開ける。
当たり前だけど、返事はない。
この世界に来てから自分の家には寝に帰ってくるだけになっていて、前みたいに毎晩一人でビールを飲む…なんて事はなくなっていた。