Hamal -夜明け前のゆくえ-
会いたくなかったというより、できれば会わずに済みたかった。
……同じか。でも、特別嫌いなわけじゃないし。
「遅かったな。それなに」
ソファーに歩み寄ると、腰掛けていた祠稀は僕が持つ袋いっぱいのお菓子を顎で差した。
「ゲーセンで暇潰してたから、戦利品。チョコとかいっぱい取れたよ」
あげる、と差し出せば「次も大量に取ってこい」と無茶なことを言われた。
「祠稀は今日いつもより早かったね。僕のほうが先に着くと思ってた」
「お前が昼間っからこっち来るって言うからだろ。授業もダリーし、途中で帰ったんだよ」
「ふぅん」
まあ僕も、学校にいても祠稀から連絡が入ればサボるな。
「パーカーちゃんは、す~っかり出入りするようになっちゃったんだねえ」
早々と袋をあさりチョコバーを食べ始めた祠稀から、クロへ視線を移す。
「出会ったころのままだったら、それはそれで違う今があっておもしろかったんだけどー」
ふっくらとした下唇に人差し指を置いたクロの瞳に、嗜虐的な閃光がほとばしった。
けれどあっさり破顔一笑され、クロはぱちぱちと拍手まで送ってくる。