Hamal -夜明け前のゆくえ-




「あのさぁ、」


中華飯店で食事中、青椒肉絲を口に運んだばかりの祠稀は視線を投げかけてくる。


僕は僕で残り少なくなった豚肉炒飯をれんげで一か所に寄せながら、「あのさぁ、」と最初からやり直す。


「祠稀はどのくらい知ってるの?」

「はあ? なにがだよ。主語つけろよ、主語。わかるか? 主語。俺が今『なにが』って聞いた部分のことだぞ」


バカにしてるんだろうか。これでも成績はいいほうなのに。


けれど、もっともなので言い返すのはやめておいた。


「威光について、どのくらい知ってるの?」


箸を持っていた祠稀はゆらりと僕の背後に目を遣った。


確認しなくても、客が僕らしかいないことをわかって尋ねたよ。


「そんなこと聞いてどうすんだ」

「どうもしないよ。祠稀はどのくらい知ってるのかなって思っただけだもん」


探るのは勝手だと祠稀が言ったんだ。聞いちゃいけないってことはないでしょ?


「どのくらい、ねぇ……」


残ったひと口分の白米を食べた祠稀は考えているようだった。やがて箸を置いた祠稀は背もたれに寄りかかり、僕を見据えた。


「なにもかも全部。って言いたいところだけど、実際は8割くらいだろうな」

「……残りの2割は知らないの?」

「明確には知らね。つーか、まさかって気付いたときにはもう、知る術がなくなったようなもんだし」


祠稀は口のピアスを弄びつつ、僕ではないなにかを見ていた。

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