Hamal -夜明け前のゆくえ-
「――っ、祠稀!?」
歓楽街近くの公園で、隠れるようにベンチのうしろに凭れかかっていた祠稀の姿を見つけ、ゾッとした。
「なにそれ、すごい怪我じゃん!」
大急ぎでそばに膝をつくが、ぐったりしている祠稀は話すのもつらそうだった。
「ちょ……っと、なんで、どうしたのっ」
夜でなければ真っ赤だろうと思えるほど、祠稀の顔や服には血がついていた。
口元も、目の横も殴られたんだろう。額のどこかも切れたのか、以前の僕のようにだらりと流れた血のあとがある。
「祠稀……どうしてこんな……一体なにしてたのさ」
救急箱の中身でどうにかなるレベルの怪我じゃないよ。
「救急車呼ぼう……! 内臓とか骨が無事とは思えないっ」
携帯を取り出した僕の耳に「やめろ」と牽制する声が届く。
「ダメだ、病院は。どっかのバカが喧嘩だとか通報しやがって……。クソ……保護だの聴取だの手続きだの、めんどくせぇんだよ」
「でもそんなこと言ってる場合じゃ……っ、」
祠稀の有無を言わせない眼差しに言葉を切った。
新しい怪我ばかりに気を取られていたけど、祠稀の身体には古傷がたくさんあるだろう。
どうすればこんな傷を負うのかと必ず疑問に思うような。
病院に運ばれて、医者に見られたとしたら……。
そのあとのことは僕でも容易に想像がついた。
「わりぃけど……動けそうにもねえから、頼むわ」
わかるけど、ダメだよ。
このままじゃ、僕の手当てなんかじゃ、絶対にダメだ。