空しか、見えない
 岩井の町では、海岸を中心に民宿がぎっしりと立ち並んでいる。昭和30年代から40年代にかけて、民宿は400軒ほどもあり、ひと夏で700校もの学校が、遠泳や臨海学校に訪れたのだそうだ。
 純一が、窓を開けてゆっくりと走ってくれる。

「あ、ごじべえの看板!」

 マリカが指さした方を、窓から顔を出して見やる。
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