空しか、見えない
 強引に引き離されたふたりに、それぞれ赤いグローブが渡される。クローブと言っても、よく見るとおもちゃのビニール製だ。

「はい、さっさとつける。どっちも顔はあんまり殴らないようにな。はい、ゴング」

 ごじべえのおじさんはそう言って、自分の手を叩いた。ふたりはどちらも赤い顔をして、荒い息をしている。互いに睨み合っている。
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