空しか、見えない
 マリカは、ふいに東北への修学旅行の思い出話をし始めた。義朝の思い出を連れてくるのも、今回の約束事のひとつだった。

「盛岡のわんこそば大会よ。覚えているでしょ?」

「やったねー、行った、行った」

 純一が振り返る。
 老舗の店には畳の大広間があり、長テーブルが何列にもわたってずらりと並べられていた。同級生たちが、全員で詰め込まれた。
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