空しか、見えない
「まるでさ、今も、あいつここにいるみたいじゃねえ」

 環がそう呼びかけた。

「さっきからずっとそんな気がして、仕方ないんだ」

「そうなんじゃない。こういうの、一番外さなかったの、あいつだったもん」

 純一は、グラスにビールを注ぎ足し頷く。

「あいつさ、あの夜どうなったか、知ってる? わんこそばは昼だったろう? 夕食んとき、どうしたか?」
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