空しか、見えない
「だけど義朝って、大人になるにつれ、遅刻ばっかではあったんだよね。そうやって、誰にも断らずにいるうちに、一日に何件も約束があったりしてさ、あの感じは不思議だったな。優柔不断で断れないっていうのとは違うのよ。どうしても、誰とも順に会いたいんだって言ってるみたいに、あるときなんか私たちとさんざん飲んでたのに、最後は急に腕時計を見て、映画館のレイトショーへ行っちゃって。やべえ、大学の仲間たちが、もう先に集まってるんだ、ごめんねって。それが嫌な感じではなかったの。ああ、またかって。たぶん、次の待ち合わせでも、ごめんごめんってやってたんだろうな」

 マリカは、フライト帰りの夜などに、よく義朝につき合ってもらっていたそうだ。
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