空しか、見えない
「雨、あがんねえかな。星でもいいから俺、義朝に会いたいよ」

 のぞむは、体を捻って窓の外を眺めた。浴衣が小さすぎるみたいで、両手両足が大きくはみ出している。長過ぎるような前髪は、風呂上がりにオールバックみたいにかきあげてしまったらしく、浴衣も着ているし、急に日本男子の顔に戻ったようにも見えた。
 階下では、片付けも終わり、灯りも物音も消えた。こんな季節外れの嵐の日で、宿泊客は結局自分たちだけだったようだ。
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