空しか、見えない
 のぞむは、取り立てて室内を見回すわけでもなく、ただ、母の遺影をじっと見つめていた。
 いい年をして長い髪をなびかせていた母を、のぞむはよく面と向かって褒めた。「お母さんの方が、サセより美人」、とか言って。
 フローリングの床には、フーちゃんや環が抱えてきたおしゃもじが転がっている。千夏がキッチンに並んで、買い込んだつまみを一緒に皿に並べてくれた。
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