空しか、見えない
「何してるの?」
純一は音を立てぬよう、クローゼットからスポーツウエアを取り出そうとしていた。
婚約者の由乃がピアノ室で稽古を始めたので、ほんの1時間ばかり泳いでくるつもりだった。
ただそれだけの、つもりだった。
「なんだ、レッスンをやめちゃいけないじゃないか」
「どこへ行くの?」
「ジムだよ。それが、どうかした?」
長い髪をかきあげた由乃の目尻が釣り上がり、感情が高ぶっているのがすぐにわかる。
純一は音を立てぬよう、クローゼットからスポーツウエアを取り出そうとしていた。
婚約者の由乃がピアノ室で稽古を始めたので、ほんの1時間ばかり泳いでくるつもりだった。
ただそれだけの、つもりだった。
「なんだ、レッスンをやめちゃいけないじゃないか」
「どこへ行くの?」
「ジムだよ。それが、どうかした?」
長い髪をかきあげた由乃の目尻が釣り上がり、感情が高ぶっているのがすぐにわかる。