空しか、見えない
「ただ、泳いでくるだけだ。それがどうかしたの?」
「純一さん、ジムなんか行かなかったでしょう?」
準備の手を止めて、鞄を床に放る。ため息をつき、ベッドの端に座る。
「一体、どうしたの? 僕だって時には体を動かしたり、髪を切ったり、歯医者へ行ったり、何だって普通にするさ。それがどうしたの」
由乃は、両手を握りしめたまま、立っている。華奢な体をニットのワンピースで包んでいる。生徒の中では控え目で、大人しい印象だった。
だから好きになったというわけではないが、純一はできるだけ言葉もなく通じ合える関係を好んできた。人の抱える感情は、いつも全身を通って流れている。触れると電流が走るように感じる日もあるし、どんなに言葉を通わせ合っても心が通じない日もある。
「純一さん、ジムなんか行かなかったでしょう?」
準備の手を止めて、鞄を床に放る。ため息をつき、ベッドの端に座る。
「一体、どうしたの? 僕だって時には体を動かしたり、髪を切ったり、歯医者へ行ったり、何だって普通にするさ。それがどうしたの」
由乃は、両手を握りしめたまま、立っている。華奢な体をニットのワンピースで包んでいる。生徒の中では控え目で、大人しい印象だった。
だから好きになったというわけではないが、純一はできるだけ言葉もなく通じ合える関係を好んできた。人の抱える感情は、いつも全身を通って流れている。触れると電流が走るように感じる日もあるし、どんなに言葉を通わせ合っても心が通じない日もある。