空しか、見えない
ハッチの頃も、のぞむはいつもそうやって、のんびり励ましてくれた。そんなときののぞむは、格別に口調が優しかった。人が真剣になって慌てるようなときに限って、どこか余裕があるように見えるのが、のぞむだったと、思い出に浸りかけるのもつかの間、
「なんだ、最後、ずいぶん遅れたぞー。恋煩いか?」
メガホン、うるさい!
眩しいほど空が青く、水面は陽光を跳ね返していた。
程よい疲れとともに力みが抜けたのか、30分もすると、佐千子は自分でも不思議なほど疲れから解放されて泳いでいるのを感じるようになった。フォームは相変わらず不格好なのかもしれないが、これまで十分に泳いできだのだという自信が力になって、水を掻けば掻くほど、体の内側から溢れてくるようだった。
水が全身をぴったりと覆っているような、肌と海の水とが一体になっているような、未知の感覚だった。
「なんだ、最後、ずいぶん遅れたぞー。恋煩いか?」
メガホン、うるさい!
眩しいほど空が青く、水面は陽光を跳ね返していた。
程よい疲れとともに力みが抜けたのか、30分もすると、佐千子は自分でも不思議なほど疲れから解放されて泳いでいるのを感じるようになった。フォームは相変わらず不格好なのかもしれないが、これまで十分に泳いできだのだという自信が力になって、水を掻けば掻くほど、体の内側から溢れてくるようだった。
水が全身をぴったりと覆っているような、肌と海の水とが一体になっているような、未知の感覚だった。