空しか、見えない
「5番は……義朝だったね」

 次の純一がそう言いかけたとき、

「5番、佐々木義朝」

 大きな声が、そう響いた。

「そう、代わりに、まゆみさん」

 千夏が、繰り返す。

「6番、田島純一」

「7番、野上佐千子」

「8番、渡辺芙佐絵。そして」

「吉本です」

 皆でじっと、ただめいめいに隣り合う人の温もりを感じながら、漂うように海の上に浮かんでいた。
 船頭には彼らが、こんな沖に浮いた花輪のように見えていた。これまでいろいろな遠泳チームを見てきたが、こんなことをする連中ははじめてだと思っていた。もう大人のようだから、のんびりしたチームなのだと彼は思った。
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