空しか、見えない
「当たり前だよ。みんな、時間が過ぎたんだからさ」

 環はそう言うと、窓の外を見た。
 もしかしたら自分は今、すごく退屈な話をしているのかと佐千子は心配になった。少なくとも環には、後ろ向きで退屈な会話に感じられたろうか、と。

「この電車で行くと、約束の10分前には着くな」

 手のひらでスマートフォンの画面を操作している。そういう仕草も、高校生の頃には見られなかったから、大人びて映る。メールのチェックをしているらしい。
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