異端の足掻きは月のみぞ知る
兵器というもの、小狐丸の担い手はただ“使う”だけでいいからだった。
力なんか要らず、ただ風を切るついでに人体に刺されば、豆腐を切るように楽に刃は通る。
加えて、防御面に関しても頼もしかった。
殺意を喰らう短刀は何も、“持ち主に限って”のことではない。
草が相手する炎使い――ジン・アイヴァンス戦がいい例。
例えあの炎が殺すつもりがなく、ただの脅しにすぎずとも、一歩間違えば相手を殺す凶器であるのには違いない。少なからず、ジンには“死んでも構わない”という“遠回しな殺意”があったはずだ。
普段ならば極小たる殺意を小狐丸は食わないが、その“形”がいけない。
魔術の形。
思念としての魔力の塊は、小狐丸の口によく“馴染むもの”だったのだ。