異端の足掻きは月のみぞ知る
断っておくが、草が小狐丸に操られている、小狐丸が勝手に動いているというわけではない。
草の殺意に小狐丸が僅かばかりの経験を流して、応えているだけだった。
川に葉が落ちれば、後は勝手に流れるように、殺意の本流に小狐丸は葉という船を置いた。
上手く泳げずにいた草が少しでも、だが確実に楽に川を渡れるように小狐丸が力添えをしているだけ。
それが、経験。
こうすればいいと直接的に指示を出しているわけではないが、草にとっての最善策が簡単に思いつく環境(感覚)を小狐丸は与えてみせた。
スピードが早くなったわけではなく、ただ単にそれは、対処にあたる策を早く紡げたからである。
振り上げられた剣がどこに落ちるか、とりあえず逃げろとしか思えなかった先と違い、今はこうしろと向かって防ぐことを覚えた。