異端の足掻きは月のみぞ知る


「いけ」


狼が口を開け、こちらに向かう。


ちょ、まてまてと言う前に――何故か狼が消えた。


僅かばかりに残った火飛沫がこちらまで来るが、先生が腕を振るだけ消えてしまう火力だった。


「……何をした」


低い声音は明らかに主さんを不愉快にさせただろうに、だけど先生はさして気にせず。


「炎狼(フェンリル)の周り、炎狼自身の空気――酸素を消した。それだけだ」


なんか理科の実験で習ったような事象が起こったらしい。


「主、ここは私が」


前に出るお姉さんだったが、おいおいと先生は呆れた。


「帰らせてもらう。どちらにせよ、もうこの“世界”には来ないだろう。お前たちが私たちに関わるメリットは何もないぞ」


< 41 / 47 >

この作品をシェア

pagetop