異端の足掻きは月のみぞ知る
ベッドで呆ける僕の前には日本人形のような少女がいた。
黒髪前髪パッツン。黒い着物に赤い帯。袖には鶴と亀の模様があしらわれた和服姿の大和撫子。十年も経てば絶世の美女になるに違いない、少女がにっこりと微笑んでいる。
「はじめまして」
「はじめまして、時音と申します。これから先、あなたと会うことはありませんが、覚えてくだされば光栄ですわ」
なんかやんわりと絶縁状を出されたぞ。
ふられたーと嘆く前に、先生が時音ちゃんの横に立ち、あの鈴を渡していた。
「助かった。迷惑かけたな」
「いえいえ。私とあなたの仲に遠慮はいりませんわよ。それに、いい加減……力を無作為に使う輩に一泡吹かせたいとも思っていましたし、ね」