異端の足掻きは月のみぞ知る
「ドッキリだと思うならば動いてもいいですが。命の保証はしませんよ」
「じゃあ、我が身可愛さにかちーんと固まります」
冗談の文字はどこにもない。
というか、ドッキリにしては手が込みすぎている。
背後の人――声からして女性だけど、この人、足音を“消した”のだ。
気配すらも消し、僕の背後に回り、先手を取る。
こそくなドッキリに、こんな達人を使うのは考えにくい。
目線を下に向ければ、鏡のような細身の剣。綺麗なのに、黒いからか冷たさが伝わってきた。
「所持しているものをこちらへ」
「どうぞ」
この状態で拒否権は望めず、持っていた小狐丸を渡した。
片手で取ったか、僅かに剣が動く。
ここで隙ありっとか言って抜けられればかっこいいんだけど、僕なんかに期待しないでほしい。