異端の足掻きは月のみぞ知る


頭だけでそんなかっこいいシーンを想像していれば、前からまた新たな人物が出てきた。


今度は男だった。
黒い外套を羽織り、黒い革手袋をするまで肌の露出はしていない。


黒髪で赤い目。目の色と顔の形からして外人だろう。


それでイケメン。
なんだ僕にイケメン見せつけて、自慢しようってか。と喧嘩腰にはならない、おっかない。


「主、どうやらこの者が“先に殺してしまった”ようです」


「へえ」


女性に主と呼ばれた男は、僕の斜め前にあった死体に近づき、見下すように観察した。


「綺麗に切れているな」


「この者が持っていたのは、これだけなんですが……」


視界の端に何かが過ぎ去る。


女性が小狐丸を投げたらしく、“主さん”が受け取った。


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