アニマルマジック
**009
それからの竜二は前よりも優しくなった気がする。
まぁ以前からの上目線は変わらないけれど。
彼に何があったのか未だに分からない。
だけど、彼の側にいることで、彼と離れないことで彼が前に見せた辛い顔にならないのならわたしが側にいる。
そう決めた。
「桃子。」
無愛想に教室のドアに立っている竜二。
「ん?」わたしは友達と話すのをやめて彼の側に行った。
「早く用意しろ」いえいえ、早く用意しろと言われても何も約束してませんけど?っと突っ込みたくなるのも変わらずです。
「え?なんか約束してたっけ?」
一応…一応だけど確認をとろう。
「あぁ!?約束とかしてねーよ。どーでもいいだろ。お前暇だろ?」
「え?わたし受験生ですけど?ちなみにちなみにトップ校狙ってますけど?何か?」腰に手を当ててドヤ顔で突っ込みをいれてみる。
「あぁ?」170㎝ほどに伸びた彼の顔を見るのは結構しんどい。そしてこの変わらず額にしわを寄せるこの顔が最強にムカつく。
「あぁ?」わたしも喧嘩腰で言ってみる。
「なんだよ。」
「いや、だから暇じゃねーし。塾あるし!!てか、この話一昨日したし!!」
「ぷ」後ろから吹き笑いの声が聞こえる。