キミがいた夏~最後の約束~
すべて話し終わった私は、なんだかスッキリしていた
こんな風に誰かに聞いてもらえる日が来るなんて思いもよらなかった
室内は話し始める前より幾分明るく見えるのは、そんな私の気持ちの現われだろう
でもそれだけでは話は終わらなかった
「お父さんはどうするの…?」
綾香が遠慮がちに私が今、正に気になっていたことを呟いた
「このままじゃ…ダメでしょ?」
そうだ
私は昨日家を飛び出したまま、丸一日何の連絡もせずにいる
もしかしてお父さんは心配しているかもしれない
「私…家に帰ります…」
「何、バカなこと言ってんだよ!」
橘先輩…
「帰ってどうする!?帰ったらまた殴られるんだろ?」
私は違うという意味を込めて小さく首を横に振る
「お父さんは普段は大人しくて優しい人なの…」
でも橘先輩はそんなこと信じられないという顔をしている
「ただ…お母さんをたて続けに亡くしてから…お酒を飲むようになって…すごい辛いんだと思う…だから…」
「なぁトビーさん…ここに置いてやってくれよ!」
話の途中で橘先輩はトビーさんを振り替えった
「ここに…?」
「ああ…部屋あまってるんだろ?前にそう言ってたよな?頼むよ…」
「ああ…まあ…」
トビーさんの困惑した声だけが静かな部屋に響き渡る
「渚、無茶言わないで…」
そんな二人の会話に都さんが割って入った