俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「え、あれ? もう帰っちゃうの? ちょっと部室で語ろうよぉ」

「ごっめーん。今からカテキョ。二学期成績上げないと志望校やばくって」

「でもぉ……次の試合で私ら引退だよ?」


蒼が目を潤ませて訴える。

でも同級生のコは申し訳ない顔をするだけで帰る足を止めることなく、すぐに蒼から見えなくなった。


「何アレ。って、のりちゃん?」


法子もすでにいない。


「…………どうして……」

法子の肩に乗せるはずの右手を、あおいは左胸にそっと、あてた。





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