恋をした悪魔
「あつい……あつい……」
リリスが焼けるような痛みに目を覚ますと
そこは、みすぼらしい木の家の、硬いベッドの上でした。
痛みの走る肩に手を伸ばすと、包帯が巻かれています。
じくじくと疼くのは、薬草を塗られているせいでしょう。
悪魔にとって薬は毒です。
たまらずリリスは包帯を剥ぎ取りました。
すると、軋む音を立てて扉が開き、1人の青年が現れました。
その腕には、たくさんの薬草が抱えられています。
青年はリリスを見るなり、相好を崩しました。
「目が覚めたんだね。よかった」
リリスは、ひどい不快感に襲われました。
彼の表情が優しさや慈愛に満ちていたからです。
人間のそういった感情を、リリスは何よりも軽蔑しています。
こんなものに助けられてしまうなんて。
――殺してやる。
リリスはこの青年を最後の獲物に決め、誘惑しようとしましたが
自分が今ただれた醜い姿でいるのを思い出し、傷を隠しました。