恋をした悪魔

「あつい……あつい……」

リリスが焼けるような痛みに目を覚ますと

そこは、みすぼらしい木の家の、硬いベッドの上でした。

痛みの走る肩に手を伸ばすと、包帯が巻かれています。

じくじくと疼くのは、薬草を塗られているせいでしょう。

悪魔にとって薬は毒です。

たまらずリリスは包帯を剥ぎ取りました。

すると、軋む音を立てて扉が開き、1人の青年が現れました。

その腕には、たくさんの薬草が抱えられています。


青年はリリスを見るなり、相好を崩しました。

「目が覚めたんだね。よかった」

リリスは、ひどい不快感に襲われました。

彼の表情が優しさや慈愛に満ちていたからです。

人間のそういった感情を、リリスは何よりも軽蔑しています。

こんなものに助けられてしまうなんて。

――殺してやる。

リリスはこの青年を最後の獲物に決め、誘惑しようとしましたが

自分が今ただれた醜い姿でいるのを思い出し、傷を隠しました。

< 6 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop