恋をした悪魔
「薬がしみたのかい?」
剥ぎ取られた包帯を拾うと、青年はリリスに問いました。
「ええ。痛くてたまらないわ」
「じゃあ、もうこれは使わないほうがいいね」
青年は、摘んできたばかりの薬草と汚れた包帯をまとめて
テーブルの隅に置きました。
「たいしたもてなしも治療もしてあげられないけれど、
君がよければ傷が治るまでここでゆっくりしていくといいよ」
リリスは青年の不快な笑顔から目を逸らし、うなずきました。
清浄な気から遠ざかっている今、魔力で回復するのは簡単です。
しかし、傷が突然消えてしまっては怪しまれます。
回復は人間らしくゆっくりとでなければなりません。
面倒ですが、すべては浅はかだった自分のせいです。
それに、この状況を乗り越えるくらいの器量を見せれば、
魔王はリリスを真の悪魔だと認めてくれるかもしれません。
誘惑できるような綺麗な体に戻るまで、リリスは
いつものように大胆なことはせず
おとなしく時を待つことにしました。