今宵は天使と輪舞曲を。

「貴方はまたこんなところにいるのですか」

 ちょうど照明が灯る下でふたりは向き合っている。彼女は首を振り、呆れた様子で息子を見上げている。彼女の様子から察するに、どうやら庭に赴くのは彼の専売特許らしい。

 責め立てる彼女の眼差しに、彼は悪びれることもなく、にやりと笑みを浮かべた。薄い唇の端が上がっている。

 ああ、たった今あの唇に塞がれたのね。

 とたんに、メレディスはラファエルと口づけを交わしたことが誇らしいことのように思えた。同時に体の奥深くにくすぶっていた炎が揺らぐのを感じて両肩を抱きしめる。

 ついさっき彼に抱きしめられたばかりなのに、また彼という力強い存在を感じたくてたまらない。

 メレディスは、ふたたびうめいてしまいそうになる唇を必死に閉ざす。


「母さん、もう花嫁探しは必要ありませんよ」

 ラファエルは沈黙を破った。

「では女性を見つけたのですか? いったいどこのご婦人ですの? 歳は? ああ、なんてことでしょう。待ちに待ったこの日がようやく来たのですね!!」

 彼女は興奮しきっている。両の腕を胸の前で握り、早口にまくし立てた。


「ミス・メレディス・トスカ」

 ラファエルの男性らしい低音が静かに告げる。

 草陰に身を潜めていたメレディスの呼吸が止まった。


 彼はわたしを妻に迎え入れたいと本気で思っているの!?


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