今宵は天使と輪舞曲を。
ラファエルが通れば彼らは視線で追う。のびのびとした環境で育っているのは明白だった。
その雰囲気はとても微笑ましい。
自分もクイーンと過ごせていたら、こんなふうだっただろうか。
ここまで馬との信頼関係を結んでいるラファエルが羨ましい。
数頭の馬に導かれるようにしてそのまま真っ直ぐ歩いていくと――。
――何かしら?
メレディスはこれまでの柔らかな雰囲気とは少し違う雰囲気を感じ取った。
「さあ、どうぞ」
最奥の部屋。そこでラファエルは立ち止まり、メレディスを先に促した。
メレディスは訳も分からずゆっくり進めば、鼻を鳴らす鳴き声がした。
ラファエルが近くにいるからだろうとてっきり思っていた。メレディスは彼の方を振り返るが、微笑を浮かべたまま動かない。
いったいどういうことだろう。
疑問を抱えたまま柵の前に立った。
瞬間、メレディスの頭が真っ白になった。
一頭の真っ白い、まるで粉雪が降り注いだような美しい牝馬。
この馬は昔、両親が与えてくれたあの仔に似ている。
――まさか。
あるひとつの単語がメレディスの頭を過ぎる。
いや、しかしそんなはずはない。だって彼女はメレディスの手の届かない所に売られてしまった。あまりにも綺麗な仔だったから買い手はすぐにみつかるはずだ。
「うそ……」
こんなのは何かの間違いだ。きっとあの仔に似ている違う馬だ。
そう自分に言い聞かせてみるものの、彼女は耳をピンと立ててこちらを見つめている。
この綺麗なつぶらな目も懐かしさを感じる。