今宵は天使と輪舞曲を。

 キャロラインはメレディスに同意すると、「ラファエル兄さんだけじゃない、グラン兄さんもよ。だってつい先日もふたりでこそこそ話しているのを見たもの。絶対におかしいわ!」とさらに付け加えた。

「メレディス、貴女が思っているほど深刻なことではないわ」
 レディー・ブラフマンはメレディスの手を優しく叩き、宥めた。
 口調から察するに、どうやら彼女はラファエルの隠しごと(・・・・・)に関して何かを知っているようだ。

「あの、レディー・ブラフマン」
「レニアと呼んでちょうだい。貴女はわたくしたちの家族になるのだから」
 ラファエルがそれを望むのなら――。メレディスはそう言いたかった。できるならこの場所にラファエルを呼んで、問い質してみたかった。けれども臆病な自分はその行動さえ起こせずにいる。

「レニア、ラファエルが何を隠しているの?」
 きっと聞いても教えてくれないだろうことは分かっている。けれどもメレディスにはそう尋ねずにはいられなかった。胸が痛い。引き裂かれそうだ。

「きっと近々本人の口から話してくれるわ。大丈夫よ、貴女が傷つくようなことにはならないわ」
 項垂れるメレディスの体を引き寄せ優しく包み込むレニアから甘く柔らかな薔薇の香りが漂う。それから彼女はまるで母親が娘をあやすようにメレディスの頭頂部に口づけ、腰を上げた。

「お母様もお母様だわ! 本当にメレディスのことを思うのなら、知っていることを話すべきよ!二人がコソコソするようになったのはメレディスが猪に襲われた翌日からよ!」


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