今宵は天使と輪舞曲を。

§ 13***告白。




 最近ラファエルがメレディスに対してのみ浮かない表情を見せることに関して、キャロラインには勢いよく尋ねてみると強く頷いてみたものの、あれから三日が過ぎた今日まで何も言えずにいた。

 ほとほと自分の根性がないことが嫌になる。
 空の蒼と湖の青が重なる。鳥の囀りも心地好く、メレディスにとってこの湖はとても落ち着く場所であると同時に、ラファエルと再会を果たし、仲を深めあった思い出深い場所でもあった。
 今の、このもやもやする気持ちが心地悪い。メレディスはすっきりさせたくて素足になると湖の中に足首まで沈ませた。

 午後の白い陽光が水面を照らし、ダイヤモンドのような強い光を放っている。今の湖の状態と自分の気持ちがあまりにも正反対で、それがメレディスをさらにやるせなくさせてくる。

(いつまでも逃げているのはダメね)
 メレディスは姿勢を正し、臆病な自分の気持ちに言い聞かせる。

「ひとりでは危険だ」
 目を閉ざし、ひと息付いたのとほぼ同時――。背後からラファエルの声がして背筋を正したが、本当は彼が後を追って来てくれるかもしれないという気持ちもどこかしらにあったから、実際はそんなに驚くわけでもなかった。
 それ以上に、彼と会話しなければならない時が来たのだと、囚人がまるで実刑判決を下されるような感覚に陥った。

「また人攫いに遭うかもしれないじゃないか」
 彼は言うなりメレディスの隣に腰を下ろす。ラファエルの言葉には自責の念が窺えた。

「ねぇ、貴方わたしに隠しごとをしているのではない?」


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