今宵は天使と輪舞曲を。
「くそ! まだだ、まだ終わらせないぞ!」
激しい抽挿にヘルミナの意識が何度も飛ぶ。それなのに、彼は行為を終わらせるどころかさらに増していく。
「人攫いを雇ってもこのザマだ! それどころか証拠を消すのに時間もかかった。何ひとつ上手くいってないじゃないか!」
何度も貫き続ける彼女の中は緩い。
「まだいけるだろう? もっと締めつけてみろ!」
一度絶頂を迎えたヘルミナには強く深く穿たれても快楽しか感じない。大きく体を反らせば、より深い抽挿が生まれた。腰を大きく持ち上げ、重力に任せて打ち付けられる。
いったい何度絶頂を迎えさせられただろうか。気が付けばヘルミナはぐったりとベッドに沈み込んでいた。
意識を取り戻した頃には彼はチュニックを羽織っていて、背中を向けてベッドに腰掛けていた。どうしたのかと気怠い体を起こせば、真剣な面持ちでワインを飲んでいる。これからのことを考えているのだろう。
あとどれくらい、彼と一緒にいられる時間が残っているだろうか。
数週間、あるいは数時間かもしれない。
胸が痛い。こんなにも想っている男性と離れ離れにならなければならないことに我慢できなかった。
「メレディスがブラフマン家に気に入られたわ。お母様とお姉様はすっかり後見人になるつもりでいる。このままでは貴方と一緒になれない。わたしはどうしたらいい? 貴方と一緒になれないなんて嫌よ……」
悲しみのあまり涙が溢れてくる。ヘルミナはすすり泣いた。