今宵は天使と輪舞曲を。

「ヘルミナとは結婚するつもりなんてなかったのね」
「当然だ。おれは色恋沙汰に興味はない。興味があるのは金と権力。お前に子供を孕ませ、世間に認められて爵位を上げる。この部分のみだ。さあ、もういいだろう? 時間を稼いだところで誰も助けには来ないさ。ここでたっぷり可愛がって孕ませてやる。だが安心しろ、おれはお前にも興味はない。女なんて外には吐き捨てるほどいるんだ。無事に結婚し、爵位が上がりさえすればお前は用済み。おれの屋敷の中で自由にすればいい。欲しい物は何でも与えてやる。ただし世間の目があるからな、一週間に一度くらいは寝室でおれの相手をして貰う必要があるがな」

 冗談ではない。愛していない夫と大嫌いな屋敷でひとり孤独に生きるなんて屍そのもの。メレディスが望む結婚は、たとえ貧乏でも良い。両親のような愛に溢れた家庭だ。お金なんて必要ではない。大切なのは自分が誰を愛し、愛されるかにある。ラファエルこそがメレディスの望んだ相手。寝室を共にするのも彼としか有り得ない。

「貴方の言うとおりにはならないわ!」
 メレディスが拒絶したが、ルイスは尚も鼻で笑った。
「抵抗すればいい。できるものならな」
 言うが早いか彼はメレディスが着ていたドレスの前を思いきり開いた。目の前でボタンがふたつ弾け飛ぶ。彼女のふっくらとした女性らしい胸が頭上にあるナイトテーブルに置かれたランプの光によって艶やかに照らされた。小振りな胸が目の前で露わになると、ルイスはうっとりと目を細めた。彼は意図も容易くすっぽりと女性らしい部分を包み、やわやわと握るとその分彼の支配欲を煽っていった。


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