今宵は天使と輪舞曲を。
彼女はメレディスの目覚めを待ち望んでいる。その憂いを持った口調と声音がどの科白よりもずっと伝わってくる。メレディスに関してはあれほどまでに敵対心を露わにしていた当初とは打って変わり、彼女の表情には情が満ち溢れていた。
「まだ目覚めない」
レニアの質問に返答したラファエルだが、それを聞くなりわあっと泣き出したのはヘルミナだった。
ラファエルの推測どおり、やはり彼女は根っからの悪ではないらしい。いくら義理の妹であっても意識不明の状態にさせたことを心から悔いているように思った。
その彼女を前にして、あんなに苛ついていた気持ちがほんの少し落ち着いたのを感じたラファエルは腰を落とし、倒れ込んでいるヘルミナに視線を合わせた。
「ヘルミナ、本当のことを話して欲しい」
その声はけっして権威的ではない。けれども柔らかでもなかった。ヘルミナがメレディスを呼び出し、ルイス・ピッチャーと引き合わせたのは真実だ。彼女がメレディスを呼び出さなければこんなことにはならなかったのも事実で、だから今のラファエルにとって、この態度が限界だったのだ。
「ごめんなさい、わたし。こんなことになるとは思わなかったのよ……」
泣きながら、彼女は謝罪を口にした。それに癇癪を起こしたのは、彼女の母エミリア・デボネだ。
「義理とはいえ、妹の命を脅かそうとするなんて、なんて醜い子でしょう!!」
エミリアは今までメレディスに対して行ってきた仕打ちをなかったことにして、ヒステリックに娘を責めた。