今宵は天使と輪舞曲を。
「レディー・ブラフマン、わたしたちデボネ家が明日、屋敷に戻ることを許可していただけませんか? もちろん、法廷での招集があれば向かいます。逃げも隠れもいたしません、わたくしたちが帰宅することをどうかお許しください」
そう言った彼女の目には決意が宿っている。家に戻った後、彼女は何かやりたいことがあるのだろう。
「ちょっと! ヘルミナの分際で何を勝手に決めているの?」
今までただ黙っていたジョーンがここへきてやっと口を開いた。
「ヘルミナ! いい加減におし! わたくしが一家の主です。勝手に決めることは許しません!」
エミリアも続いて口を開いた。
「嫌なら残ってもいいけれど、お母様たちの居場所はここにはないわ。それに、わたしはもう貴女方の指示には従いません。わたしはわたしのやりたいように生きます。もう誰の言いなりにもならないわ! 今回の件でわたしは学んだの。デボネ家の経済状況をなんとかするわ。わたしが立て直してみせます!」
反対する二人にぴしゃりと言ってのけると、ヘルミナはさらに続けた。
「こちらで散財したお金はいつお返しできるかは分かりませんが、きっちり返済させていただきます。デボネ家が起こしたこれまでの数々の非礼をどうかお許しください」
そこまで言うとブラフマン夫妻に一礼し、踵を返した。
「ヘルミナ! お待ち!!」
ヘルミナが去って行くのとほぼ同時に、事のいざこざに駆けつけたラフマと馬丁が姿を現した。ヘルミナはほんの少し馬丁と目が合ったが、表情がないままひと言も口にしないまま通り過ぎて行く――。