本と私と魔法使い
キンッという刃物の重なる音が静かなこの場所に響いた。

「大丈夫か?」

さっきと同じ口調で私に聞いた。

和泉。
憎たらしいのに、安堵で涙が流れそうになった。

「うん、」

和泉はくしゃりと私の頭を優しく撫でた。
なんで、こいつが撫でてくれると安心するんだろう。
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