Tolie.





「 一輝に聞いた話では、ソコを
  殴られたみたいだったけど 」




”当たり?”って私に触れた手を
引っ込めてそのまま頬杖をつく。
離れたことに対しては何も言わず
私には見向きもしないで




「 美優ちゃん、おいで 」




目を伏せた優斗さんの声が
少しだけ低くなった気がした。
オズオズと距離をつめると
ふっ、と小さく笑った優斗さんの
手が伸びてきて、私の顎を掴んだ。




「 感情が麻痺してるのかな 」


「 ・・・っゆ、とさん? 」


「 殴られた所は覚えてる? 」




グイッ、と上を向かされたまま
微かに何度か頷くと
”そっか”って気のない返事が
返ってきて、




「 龍一にされたことは覚えてる?
  そのときに感じた痛みと苦しみ、
  そのときに龍一に対して思った
  感情全て、美優ちゃんの中には
  残ってるかな 」




痛いわけじゃない。
顎を掴む手の力は強くない。
振りほどこうと思えばできる。
私が今怖いのは、優斗さんの目。







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