キミ色季節。【完】
まだ、ある。
あたしが専門なのは
200㍍だから…。
100㍍が終わってすぐに
200㍍がある。
スプリンターはよく
この2つを賭け持つから
それなりに時間の配慮は
あるのだけど
200㍍の予選は
どうしてもお昼の時間。
あたしはゼリーのみを
胃に入れた。
…これでいかなきゃ
個人で県大会は
行けないことになる…
「杏香さ~ん、緊張します~」
今日は1年生の子が
一緒だったりする。
「大丈夫?
200メートルで大会はじめてだよね?」
「…はい」
「カーブでどれだけ内側を走るか、後半どれだけ上げるか。でも…はじめてならおもいっきり楽しもうね!」
あたしは部長でも
そういう人じゃないから
みんなに何かを伝えることなんてないから、
この子に託そう…
「みんな緊張してガチガチになっちゃうの。楽しんだもん勝ちでしょ?」
「…杏香さん」
「ん?」
「なんか、がんばれる気がします…」
「へ……あははっ」
「もーっなんですか?」
「ううん」
この子はきっと強くなる。
ゆっくりでもきっと…。
『次の人ー入ってくださーい!』
「杏香さんがんばってください!」
「ありがと。こちらこそ、あっちで待ってるからがんばってね」