魔王と王女の物語
その頃ラスは、エリノアが眠っていたベッドの前に立っていた。


「どうした?早くそれ脱いでこれ着て楽しませてくれよ」


そう言って魔王がラスの影に手を突っ込んで出したのは純白のネグリジェ。

透け透け具合が最高に魔王をコーフンさせる絶品もので、

棒立ち状態のラスの肩に手をかけてドレスを脱がせようとして、異変に気が付いた。


「私…このベットで寝たくない」


「なんでだよ、寝心地良かったぜ?」


…かちーん。


――コハクがベッドに寝そべり、エリノアがコハクの腕を揉んでいた光景が浮かんで、

肩に乗っているコハクの手を払うと、掛け布団だけをずるずる引っ張って…部屋の隅っこに移動して、座り込んだ。


「ここでいい」


「だーめー。お前はプリンセスなの。床で寝るとかどんな発想だよ」


「とにかくそのベッドに寝たくないの。コー1人で寝たらいいでしょ。おやすみなさい」


布団に丸まってごろんと横になってしまい、ちょっと焦ったコハクがラスを無理矢理抱き上げると、2人掛け用の小さなソファに座らせた。


「ベッドで寝ないと身体痛くなるぞ?それにこのソファじゃ一緒に寝れねえじゃん」


そう言ってまた影から呼び出したのは…礼の絨毯だ。

ふかふかのふわふわな絨毯にラスを座らせて、またドレスに手をかけた。


「それ脱いでこれ着ろって」


「どうして私の名前は呼んでくれないの?エリノアさんの名前は呼ぶのにどうして?」


灯りをつけていない部屋は月夜の光だけ。

薄暗い室内でラスのグリーンの瞳が瞬き、コハクを追及した。

その間魔王の趣味が炸裂しているネグリジェを頭からすっぽり被せて着せると頭を撫でた。


「チビだって俺の名前呼ばねえじゃん。コハクって呼んでみろよ」


「や、やだ。コーはコーだもん。もういいよ知らないっ」


「待て待て。俺の腕枕要らねえの?それに友情の証は?それと寝るならこっち向いて寝ろ」


ころんと寝返りを打ち、魔王とラスの瞳が合う。

透け透けのネグリジェの下は…素肌。

一度起き上がり、シャツのボタンを第3まで外すと頭からすっぽりと脱いだ。

ラスが目を逸らす。

チャンス!
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