魔王と王女の物語
最後にティアラが庭に出て来て、

リロイと少し見つめ合って照れたように両者が俯いたので、

普段そんな微妙な空気に気付かないラスが何故か気付いてしまって、表情を曇らせた。


「チビ、どうした?口がとんがってるぜ」


「リロイは…ティアラの“勇者様”なのかなあ…」


「そうなんじゃね?さっきなんか2人で仲良く一緒に寝てたぜ」


にやにやしながら魔王がラスに告げ口をすると、途端に2人の顔色が変わる。


ティアラは真っ赤に。

リロイは…真っ青に。


そしてラスは…リロイと目が合うとふいっと顔を逸らした。


…“奪われた”という思いになって、

大好きなティアラとリロイのことを少し嫌いになってしまって、コハクの背中に負ぶさり、しがみつく。


「コー…部屋に連れてって」


「了解。あー、そこのバカップルは今後同じ部屋でいいよな?することしたんだろ?」


「ち、違う!ラス、僕は…」


「コー、早く!」


…聞きたくない、と言わんばかりに大声を出したラスの態度に胸が張り裂けそうになって、


塔の中へ消えて行くまで見送ると、即座にティアラの前で膝を折って深々と頭を下げ、謝罪した。


「昨晩の僕の態度は…過ちでした。今後はあのようなことは絶対にしません」


「…いいんです。私も…どうかしていたわ」


2人で塔を見上げた。


――部屋に着いたラスは乱暴に透け透けのネグリジェを脱いで、地団駄を踏んだ。


「コー、もやもやする!」


「小僧たちのことか?ま、ティアラは胸でかいしツンデレなとこもイイよな」


「ツンデレってなに?私…一緒に居れないよ。ひどいこと言っちゃいそうだよ…」


裸同然のまま膝を抱えて うずくまったラスの隣に座り、

脇からちらっと見える胸に釘付けになりつつ頭を撫でてやって良い人ぶりながら金の髪を指で掬ってキスをした。


「じゃあ俺と2人で行くか?やべえ、歯止め利かなくなりそうなんだけど!」


「?コーと2人で?……でも駄目だよ…みんな一緒じゃないと」


「チビは俺だけ見てればいいの。小僧なんか見んなよ」


強引に唇を奪って、思考も奪った。
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