魔王と王女の物語
「もー疲れた。チビ、膝枕してくれよ」


「うん、わかった」


木陰に移動して大木に寄りかかるとぽんぽんと膝を叩いたラスにしめしめという顔をした魔王が早速寝転がり、やらわかい太股を堪能して息をついた。


ラスはその間ひどい有様の右頬が気になって、またぺろぺろと舐めると、

魔王が首を動かして的をずらすと、唇をなめられて大コーフン。


「コー、動いちゃ駄目だよ。まだ痛い?」


「まあ、あのとさかヤロウはなかなか強かったからな、治りが悪いかも」


「私たちのために戦ってくれてありがとう」


あの不気味な鳥頭の魔物を思い出して身震いすると、タックルをするようにして細い腰に腕を回し、頬ずりした。


「“私たち”じゃねえよ。“チビのため”に戦ったんだし。わかってないねえ」


「ほんと?私だけのために?」


――馬車の傍らに立ち、2人がイチャイチャする光景に腸が煮えくり返りそうな気分になりながらもこれ以上進展しないように見つめているリロイと、

馬車から出てきたティアラがリロイのマントを引っ張って寂しそうに顔を伏せた。


「リロイ…私も…怖かったです」


「…申し訳ありません。僕の優先順位は常にラスが最優先なんです。でもあなたのことも必ず守ります」


片膝をついてティアラの手の甲にキスをしているリロイの姿は騎士道そのもので、ラスが黙ってしまうと…


腰に抱き着いていたコハクが身体を起こして木の幹に手をつくと、

赤い瞳を優しく笑ませて拳を握っていたラスの小さな手を取り、甲にキスをした。


「どうだ?騎士みたいだろ?」


「ふふっ、そんな真っ黒な騎士なんて居ないよ。ありがとう、コー。慰めてくれたんでしょ?」


「ちげーよ、チビが小僧のことばっか気にしてるからだろ」


むにっと頬を引っ張られたのでラスも無傷の方の頬を引っ張り返すと、また腰に抱き着いてお尻を撫でた。


「どうしてお尻を触ったの?」


「触りたいから。つか、ちっちぇえな、安産型じゃねえと俺は困るんだよ。バンバン生んでもらわねえといけないからさ」


「?私が?何を?」


「秘密ー」


結局また一人で魔王、妄想。
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