魔王と王女の物語
部屋から出て外へ行こうとするコハクをラスが引き留めた。


「やだコー!行かないで!」


「だってあんなんうろついてたら寝れねえじゃん。片っ端からやっつけてくりゃいいんだろ?」


「やっつけれるの?だったら朝にしようよ!コー、1人にしないで!」


上半身裸のまま肩からタオルを下げた魔王はまだ濡れている黒髪をかき上げて腰を屈め、ラスと視線を合わせる。


「じゃあさあ、今日は俺の上で寝てくれる?抱っこで!」


「うん、わかった。コーの上で寝ればいいんだよね?早く寝よ!」


――途端、さっきまで魔物討伐に行こうとしていた魔王はあっさりと気を変えてベッドに寝そべると、ラスが馬乗りになってきた。


「もーやべ。あー、やべ。それ脱いでくれたらもっと嬉しいなー」


「寒いからやだ。ねえコー、みんなどこに行ったの?町を捨てたの?」


真っ暗闇の中、魔物の声が聴こえる度にラスが身を竦めるので、ぱちんと魔王が指を鳴らすと…声が消えた。


それで安心したラスが起き上がり、コハクに何かお礼をと思って身を乗り出してタオルで髪を拭いてやり…


その度に魔王の頬にむにむにと胸があたって大コーフン。


「触ってもいい?いいよな?つか、触るだけじゃなくってもっとすごいこともしていいよな?」


「え?はい、できたよ。コー、ちゃんと髪拭かなきゃだめだよ、風邪引いちゃうよ」


あっさり身を引いてしまったラスに発情しかけた魔王はこの上なくがっかりしたが、


両脚の間にラスの脚を挟んで温めてやり、胸がばっちり自分の胸にあたっているのでにやつきが止まらなくなり、ラスの頭を撫でて顔を胸に押し付けた。


「コー、何も着なくっていいの?寒くない?」


「チビの体温があるから平気。俺さあ、明日あの鬱陶しい魔物の討伐しに行くけどチビはここに居ろよ」


「うん、わかった。リロイと行くでしょ?リロイは強いんだから魔物なんてすぐにやっつけちゃうよ」


――魔王の唇が尖った。

とにかくラスを病的に独占したがるコハクはラスのお尻を撫でながら鼻に噛みついた。


「小僧の助けなんざ要らねえよ。俺を誰だと思ってるんだ?」


魔王、1人で魔物討伐やる気満々。
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