魔王と王女の物語
朝、誰かから肩を揺すられてラスは目を覚ました。


「ラス起きて、朝だよ」


「あ…リロイ…おはよ。コーは?」


目が覚めて一発目の言葉がコハクの所在。

苦笑しながらベッドに座ったリロイはすでに鎧をつけて武装していた。


「影なら外を見て回ってるよ。やけにやる気だけど何かあった?」


「え?ううん、別に。ねえリロイ、コーと仲良くしてね。少し位なら喧嘩してもいいけど…」


「あいつが僕につっかかってくるんだからあいつに言ったら?」


頬にキスをすると少し嬉しそうな顔をしたのでリロイも嬉しくなって手を引いてベッドから連れ出すと、ピンクのネグリジェ姿だったので背を向けた。


「下に下りてるから着替えて来てね」


――コハクが用意していた薄ピンクのフリル満載のドレスを着て1階へ降り、ティアラの隣に座るとコハクが外から帰ってきた。


「コー、どうして起こしてくれなかったの?怖かったよ」


「んな可愛いこと言うなよ。朝になるとあいつら山に戻って行ったぜ。おい小僧、お前来なくていいからな」


「馬鹿言うな、僕が行って町の皆さんを助けるんだ」


「ふざけんな“勇者様”になるのは俺だっつーの」


子供じみた言い合いをした挙句ラスが唇を尖らせたので2人はぴたりと口喧嘩をやめて、パンをかじった。


「とにかく魔物は俺に任せとけ。できれば何匹か捕まえたいなー、レベルが高いのが居たら使役して服従させて…ふふふ」


実験好きの魔王が妄想を膨らませている間、ティアラは目を擦った。


「ティアラ、寝てないの?」


「ええ…魔物が吠えていたでしょ?途中から聴こえなくなったけど」


「コーの魔法のおかげだよ。ティアラ、お礼を言ってあげて」


…魔王にお礼を?

明らかに不満げな表情になったティアラに対し、魔王はまた妖しい笑みを浮かべて隣に座り、テーブルに頬杖を突いて顔を覗き込む。


「言葉じゃなくってカラダでもいいんだけど」


「ふざけないで!」


「ティアラ、喧嘩は駄目」


ラスに窘められて黙ったが…魔王1人だけうきうきして楽しそうにしていて、席を立つ。


「じゃあ行ってくる」
< 132 / 392 >

この作品をシェア

pagetop