魔王と王女の物語
「助けください!」
――洞窟から出て行こうとしたコハクの背中に細く高い女の声がかかった。
振り返ると金褐色の長い髪をゆるく頭の上でまとめたスレンダーな若い女が深々と頭を下げていた。
「お前みたく若い女が居たのか。ふうん」
「あ、あの…お願いします…」
はたとコハクと見つめ合い、まともに顔を見てしまった女の顔色があっという間に青から赤に変わり、ますます魔王は…張り切った。
「お前、後でちょっと用があるからな。ここに残ってろよ」
「は、はい」
俄然やる気が出た魔王は…その場で掌を地面に向けて、妖しい笑みを浮かべたまま、呼びかける。
「ケルベロス」
掌を向けた地面に黒い魔法陣が浮かび、その真ん中からずずず、と山のように大きな生き物が現れた。
「ひぃっ!ま、魔物だ!!」
「ばーか、ただの犬だっつーの」
…それは魔王流の冗談だったのだが、呼び出したのは、冥界の番犬である3つの頭を持った真っ黒な犬。
185cmの魔王よりも大きくなおかつ巨体で、魔王が手を翳すとそれまで唸り声を上げて住民に歯をむき出していたケルベロスは尻尾を振って手に顔を擦りつけた。
「行って来い。全部食っていいぞ」
ケルベロスが飛び出して行き、今まで隠れていた住人たちの所在を知った魔物たちが一斉に向かってきて、それでも余裕を失わずに腰に手をあててにやりと笑った。
「危ない!」
「危なくねえよ。俺は死なねえ。やってみろ」
ライオンに翼の生えた魔物がケルベロスの猛攻をかいくぐってコハクに向かって手を振り上げた時…
指を揃えて下段から右斜め方向に手を振り上げると…魔物の首があっさりと落ちて、鮮血が吹き出す。
「弱っちいでやんの。歯ごたえのある奴はいねえのか?」
がっかりさ加減が半端なくため息をついた時…
魔王の視界の片隅に、あってはならない者の姿をとらえた。
「コー、どこに居るの!?」
「チビ!?隠れてろっつったのに何やってんだよ」
舌打ちしながら焦ってラスの元へと向かう魔王。
魔物よりもよっぽど魔王をコーフンさせる存在の登場に、苦笑。
――洞窟から出て行こうとしたコハクの背中に細く高い女の声がかかった。
振り返ると金褐色の長い髪をゆるく頭の上でまとめたスレンダーな若い女が深々と頭を下げていた。
「お前みたく若い女が居たのか。ふうん」
「あ、あの…お願いします…」
はたとコハクと見つめ合い、まともに顔を見てしまった女の顔色があっという間に青から赤に変わり、ますます魔王は…張り切った。
「お前、後でちょっと用があるからな。ここに残ってろよ」
「は、はい」
俄然やる気が出た魔王は…その場で掌を地面に向けて、妖しい笑みを浮かべたまま、呼びかける。
「ケルベロス」
掌を向けた地面に黒い魔法陣が浮かび、その真ん中からずずず、と山のように大きな生き物が現れた。
「ひぃっ!ま、魔物だ!!」
「ばーか、ただの犬だっつーの」
…それは魔王流の冗談だったのだが、呼び出したのは、冥界の番犬である3つの頭を持った真っ黒な犬。
185cmの魔王よりも大きくなおかつ巨体で、魔王が手を翳すとそれまで唸り声を上げて住民に歯をむき出していたケルベロスは尻尾を振って手に顔を擦りつけた。
「行って来い。全部食っていいぞ」
ケルベロスが飛び出して行き、今まで隠れていた住人たちの所在を知った魔物たちが一斉に向かってきて、それでも余裕を失わずに腰に手をあててにやりと笑った。
「危ない!」
「危なくねえよ。俺は死なねえ。やってみろ」
ライオンに翼の生えた魔物がケルベロスの猛攻をかいくぐってコハクに向かって手を振り上げた時…
指を揃えて下段から右斜め方向に手を振り上げると…魔物の首があっさりと落ちて、鮮血が吹き出す。
「弱っちいでやんの。歯ごたえのある奴はいねえのか?」
がっかりさ加減が半端なくため息をついた時…
魔王の視界の片隅に、あってはならない者の姿をとらえた。
「コー、どこに居るの!?」
「チビ!?隠れてろっつったのに何やってんだよ」
舌打ちしながら焦ってラスの元へと向かう魔王。
魔物よりもよっぽど魔王をコーフンさせる存在の登場に、苦笑。