魔王と王女の物語
元魔法使いの男がラスたちの目を盗んで、聖石をコハクの手に押し付けた。

すると何故か一段と輝きが増して、顎で別室を指して移動すると、マントの下に隠した石を出してしげしげと眺めた。


「でかいな。誰でも自由に使えるし、お前なら知識があるから魔物避けに効果を発揮したろ?」


「はい。でももう魔物が出ないならいいんです。差し上げます」


――別に貰っても実は何に使おうと思っているわけでもなかったのだが、

点滅する石は無尽蔵な魔力を未だ保持している魔王の力をさらに増幅していて、にんまりと笑いつつ、それを胸に押し当てた。


「じゃあ貰っといてやる。言っとくけど、あの金髪の女にゃ誰も手を出すんじゃねえぞ。あれは俺の女だからな」


釘を刺し、コハクの胸に吸い込まれるようにして沈んでゆく石に元魔法使いの男は正体を知らないながらも畏怖の念を抱き、

2人で談話室に戻ると、リロイを真ん中にしてラスとティアラが何やら嬉しそうにして話しかけていた。


「リロイすごかったんだよ。勇者様みたいだったの」


「私も行けばよかったわ。でもやっぱり怖くて…。リロイ、あとで魔法剣を見せてください。浄化しますから」


「ありがとうございます。ら、ラス、あんまりくっつかないで」


リロイをいじめることを覚えたラスがしきりに腕に触れていて、


魔王、激怒。


「小僧!俺のチビに触るんじゃねえっつってんだろが!」


「僕が触ってるんじゃない!お前の目は節穴か!」


ラスを強奪してソファにふんぞり返りながら座っり村の娘が持ってきたピンク色の花を器用に編んで花冠を作るとラスの頭に乗せた。


「わあ、可愛いっ。コー、ありがと」


「あんまり小僧と話すなよな。イライラするだろうが」


「どうして?リロイって可愛いよね、すぐ顔が赤くなっちゃうの」


コハクに花冠を編んでやろうとするが全然作れなくてしゅんとなったラスの視界に…

あの金褐色の髪の女が目に入り、コハクをうっとりとした瞳で見ていることに気がついて、思いきり抱き着いて魔王を喜ばせた。


「どした?」


「何でもないのっ。コー、今日も一緒に寝ようね」


ラス、やきもちを覚える。
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