魔王と王女の物語
何故かベルトを外そうとしているコハクを見たリロイは、

危機一髪のところでこれから起こったかもしれない悪夢を止められたことに胸を撫で下ろした。


「リロイ、どうしたの?」


「今日は冷えるから湯たんぽもらって来たよ。あとあまり食べてないでしょ?これ作ってもらったから」


「わあ、ありがとう!あったかいスープだっ」


チャンスを逃した魔王は鼻を鳴らしてふてくされながら寝転がり、しっしと手でリロイを追い払う仕草をしてやつあたり。


「早く出てけって。チビ、俺がスープ飲ませてやるよ」


「自分で飲めるもん」


敢え無く素っ気なくされて、湯気を上げるあたたかいコーンスープに夢中になっているラスもまた可愛らしく、最後にリロイが魔王を睨んで出て行った。


「あーあ、チビにせっかくぺろぺろしてもらおうと思ったのに」


「これ食べたらしたげるよ」


「もういいや、気分じゃなくなった。一口ちょーだい」


「うん。あーん」


スプーンで掬って口元まで持ってきたので、魔王は子供のようにいやいやをして、誰もがうっとりする美貌に最高の笑顔を乗せて笑いかけた。


「口移しがいいなー」


「ちょっと熱いから待ってね、冷ますから」


ふうふうと息を吹きかけてスープを冷ますラスを、わくわくが止まらない魔王はまた妄想で頭の中をいっぱいにしながら口を開けて待ち受ける。


「じゃあいくよ。…どう?美味しい?」


「マジ美味い。こっち来いって」


手を引っ張って自分の身体に倒れ込ませるとキスをして、

緑の瞳がとろんとなったラスは湯たんぽを脚で蹴って床に落としたコハクの唇から離れながら身体をもぞもぞと動かした。


「コー、湯たんぽが…」


「俺があっためてやるからあれは要らないの。明日は強行スケジュールになるぜ、早く寝ろって」


「うん。コー、おやすみなさい」


「はいおやすみ」


寝つきが良すぎるラスが瞳を閉じた瞬間もう寝息が聞こえて、

べったりと身体を密着させて脚を絡めながら、復活した急所の感触ににんまり。


「やべ、眠れねえ!」

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