魔王と王女の物語
「ラス、捜したよ」


「元通りになった森をコーと見てたの」


――笑顔で出迎えてくれたラスにほっとしたリロイは、片膝を突くとラスの手を取って甲にキスをした。


「よかった…。もう笑ってくれないんじゃないかと思って怖かったよ」


「ふざけんなよ俺がついてるからそんなことは起きねえんだよ」


「現に起きたじゃないか。影のくせに」


「はあ?」


一気に険悪なムードになり、また違う男が現れたことでユニコーンは完全に興奮状態に陥り、前脚を地面でかくと突進する準備をしていて、

ラスは白い鬣を撫でてやって角の根元を擦ると徐々に安定してきて、コハクとリロイの肩に代わる代わる触れた。


「コー、リロイ、喧嘩は駄目」


「ふん、わかったよ。よっと……あれれ」


コハクが立ち上がろうとした時…

よろっとよろめいて、ラスが慌てて胸に抱き着いて身体を支えると必死になってコハクを説得した。


「コー、ちょっとだけ眠って。お願い」


「チビが隣で寝てくれるんなら寝てやってもいいなー」


「その冗談は面白くない。甘えるな」


「うん、いいよ。でも女王様…部屋を貸してくれるかな」


「あいつはもう俺たちにゃ関わって来ねえよ。じゃ、ちょっと寝るかー」


喜んだラスが手を繋いできて、本当は抱っこして行きたかったのだが、まるで付き合いはじめの恋人同士のようで…


魔王は果てしなく照れてしまった。


「ち、チビ?あのさー、手ぇ離してほしいんだけど」


「どうして?いつも思ってたけどコーの手っておっきいよね。指も長いし、いいな」


「俺の指でチビを沢山喜ばせてやるから待ってろよ」


「?うん、わかった。リロイ、ちょっとだけ寝るね。出発遅らせてもいい?」


「…ん、いいよ。部屋の外で見張ってるから」


「そーんなに声が聴きたいのか?」


リロイをからかいまくったが、倒れそうなほどに眠たいのは確かだった。

三精霊を召喚しっぱなしだったのはさすがに堪えて、部屋に着くなりベッドに突っ伏すと、ラスがころんと横に寝ころがった。


「触ってい?」


「うん」


愛しい女――
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