魔王と王女の物語
ブルーストーン王国に向かって馬車が走り出した。
全ての国は魔王の城に沿って存在する。
「グラースはブルーストーン王国の人なんだよね?じゃあ王国に着いたらお別れなのかな」
相変らずラスの膝枕で気分上々のコハクは、王国に寄り道する理由を知っている。
ティアラとリロイが結託して自分を倒そうとしている――
16年前にカイの魔法剣でやられた時のことを思い出して、ついくつくつと笑うとラスから鼻をつままれた。
「どうして笑ってるの?」
「いや?あの時は痛かったなーと思ってさ」
「?あの時ってなんのこと?」
ティアラがぎくっとして窓の外に目を遣ったが、魔王は敢えてそれ以上を語ろうとせずにラスの鼻をつまみ返す。
「チビ、北の方見てみろよ」
そう言われて遥か遠くの北の方角を見ると…
そこにはかすかだが暗雲が垂れ込めていて、おどろおどろとした雰囲気が伝わってきて、
いかにも雷が鳴っていそうな環境につい顔色が悪くなると、コハクが安心させるように首に腕を回して顔を引き寄せると頬にキスをした。
「雷が落ちないようにしてやっから心配すんなって。あと引っ越しも可!チビの好きなとこで住もうぜ」
「え、ゴールドストーン王国じゃ駄目なの?」
「俺はカイから嫌われてるから駄目。どうしても国に戻りたいってんなら…俺とは離れ離れに…」
途端にラスがくしゃっと顔を歪めてまたむにゅっと胸に顔を押し付けてきて、
魔王、大歓喜。
「やべえ、マントじゃ隠せねえ!」
「コーとずっと一緒に居るから!そんなこと言わないで!」
そんな2人の会話に釘を刺すのは嫌だったが…ラスがコハクと運命を共にするつもりなのならば、聞いてみたいことがあった。
…いや、聞かなくてはならないことがあった。
「ラス…リロイはどうするの?彼はあなただけの騎士なのよ?」
ローブを握りしめて問うと、魔王は舌打ちをしたが、コハクに抱く感情が恋であることに気付き始めたラスは、そんなティアラの手を握った。
「リロイにティアラだけの“勇者様”になってもらってね」
それは別れの言葉に聴こえた。
全ての国は魔王の城に沿って存在する。
「グラースはブルーストーン王国の人なんだよね?じゃあ王国に着いたらお別れなのかな」
相変らずラスの膝枕で気分上々のコハクは、王国に寄り道する理由を知っている。
ティアラとリロイが結託して自分を倒そうとしている――
16年前にカイの魔法剣でやられた時のことを思い出して、ついくつくつと笑うとラスから鼻をつままれた。
「どうして笑ってるの?」
「いや?あの時は痛かったなーと思ってさ」
「?あの時ってなんのこと?」
ティアラがぎくっとして窓の外に目を遣ったが、魔王は敢えてそれ以上を語ろうとせずにラスの鼻をつまみ返す。
「チビ、北の方見てみろよ」
そう言われて遥か遠くの北の方角を見ると…
そこにはかすかだが暗雲が垂れ込めていて、おどろおどろとした雰囲気が伝わってきて、
いかにも雷が鳴っていそうな環境につい顔色が悪くなると、コハクが安心させるように首に腕を回して顔を引き寄せると頬にキスをした。
「雷が落ちないようにしてやっから心配すんなって。あと引っ越しも可!チビの好きなとこで住もうぜ」
「え、ゴールドストーン王国じゃ駄目なの?」
「俺はカイから嫌われてるから駄目。どうしても国に戻りたいってんなら…俺とは離れ離れに…」
途端にラスがくしゃっと顔を歪めてまたむにゅっと胸に顔を押し付けてきて、
魔王、大歓喜。
「やべえ、マントじゃ隠せねえ!」
「コーとずっと一緒に居るから!そんなこと言わないで!」
そんな2人の会話に釘を刺すのは嫌だったが…ラスがコハクと運命を共にするつもりなのならば、聞いてみたいことがあった。
…いや、聞かなくてはならないことがあった。
「ラス…リロイはどうするの?彼はあなただけの騎士なのよ?」
ローブを握りしめて問うと、魔王は舌打ちをしたが、コハクに抱く感情が恋であることに気付き始めたラスは、そんなティアラの手を握った。
「リロイにティアラだけの“勇者様”になってもらってね」
それは別れの言葉に聴こえた。