魔王と王女の物語
頭からお湯をかけて泡を流してやり、

完全にコーフンのるつぼから抜け出たコハクが唇を撫でているラスをバスタブの中に放り込むと腰に手をあててため息をついた。



「あのさあ、今のがキスだっていうのはわかった?」


「キス?スノウさんはキスのおかげで目が覚めたんだよね」


「まあそうだけど、あいつらはもう口と口をくっつけること以上をしてるだろうけどさ」


「え?どういう意味?」


「チビ…まあ、そういうお前も可愛いよ、うん。とにかく!今日のパーティーは知らない男に飴をもらったりしてもついて行くなよ。返事は?」


「はいっ」


全裸のまま全開の笑顔を向けられても…


何だかやり場のない思いが込み上げてきて、長い前髪をかき上げるとコハクはラスの影に戻って行った。



「コーのおかげでぴかぴかになっちゃった。ありがと!」


『…チビめ、後で恥ずかしいくらい鳴かせてやるからな』


「?」


しばらく湯に浸かってバスタブから上がり、バスローブを着て自室まで戻り、水を飲んでベッドに座っていると、また外で花火が上がった。


窓辺に寄って外を見下ろしてみると…


「人がいっぱい!」


「欲深い人間ばっかりさ」


またラスにべたべた触っては頭のてっぺんにキスをして、カイが用意した大きな箱を窓枠に置いた。


「着せてやるよ」


「ほんと?コーありがとう!大好き!」


むぎゅっと抱き着かれて、鼻の下を伸ばしながら箱から純白のドレスを取り出した。


「フリルが沢山だ、可愛い!コー、早く着せて着せて!」


「はいはい」


暗くなってきた部屋の中でバスローブを脱がせると、下着姿だけになったラスがわくわくしながら見上げている。


「おかしいぞ、もっとこう…ムードが出る予定だったんだけど」


「?コー、早く!」


「はいはい」


ドレスの背中側についているファスナーを下げてラスがコハクの肩に手を置いて重心を支えながらドレスに脚を通した。


「閉めるぞ」


「うん。…ぅ、ちょっときついかも」


「我慢我慢。よく似合ってるぜ」


肩にちゅっとキスをした。

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