魔王と王女の物語
ラスをドレッサーの前に座らせると化粧道具を手にした。
「魔法でしてやろうか?俺は自分の手でやりたいんだけど」
「お化粧くらい自分でできるもん」
「嘘つけ、この前頬紅で顔全体を真っ赤に塗ってたじゃねえか」
とんとお洒落に関心がなく、せっかくの逸材なのにもったいない…と嘆きながらも、
コハクが施したのはピンク色の口紅を薄く塗り、パールのアイシャドーを瞼に塗っただけだった。
「おしろいはしなくていいの?」
「しなくていいの。言っただろ、お前の肌はスノウより白いんだってば」
「早く会いたいな、コー、早く行こうよ」
気が急いてコハクの腕を引っ張り回していた時…
ノックする音がして、ドアの外から“失礼いたします”という声が聴こえた。
「あ、リロイだ」
部屋に訪ねてくるのは久々で、勢いよく扉を開けると驚いた顔をしたリロイが、ラスのドレス姿を見て手で口元を隠す。
「ねえリロイ、これどう?似合ってる?」
「あ…、は、はい、ラス王女…」
「そんな呼び方しないで!どう?」
「え、いや、あの……か、可愛いよ」
誉めてもらえて飛び跳ねながらリロイを部屋の中に引っ張り込み、ベッドに座った。
金色の髪には白い花のコサージュをつけて、いつも以上に可愛らしくなったラスに思わず見とれると、
窓辺からコハクがこれ見よがしな咳払いが聴こえた。
「パーティーの準備が整ったから迎えに来たよ。沢山知らない人が居るけど、僕が守ってあげるからね」
「うん、ありがとうリロイ。大好き!」
きゅっとラスが手を握ってきて、顔を赤らめたリロイに対して、
コハクは限りなく機嫌を斜めにしながら毒を吐いた。
「“大好き!”の大安売りだな。おい小僧、真に受けるなよ」
「うるさい!ラス、行こう」
「うん」
恭しく手を取って歩き出したリロイに手を引かれ、
その間にコハクは影と影の間を伝って一足先にパーティー会場へと侵入した。
…数百人は居るだろうか。
「みんな飢えた獣の目をしてやがる。チビは俺の花嫁だぞ」
バルコニーで一人呟く。
「魔法でしてやろうか?俺は自分の手でやりたいんだけど」
「お化粧くらい自分でできるもん」
「嘘つけ、この前頬紅で顔全体を真っ赤に塗ってたじゃねえか」
とんとお洒落に関心がなく、せっかくの逸材なのにもったいない…と嘆きながらも、
コハクが施したのはピンク色の口紅を薄く塗り、パールのアイシャドーを瞼に塗っただけだった。
「おしろいはしなくていいの?」
「しなくていいの。言っただろ、お前の肌はスノウより白いんだってば」
「早く会いたいな、コー、早く行こうよ」
気が急いてコハクの腕を引っ張り回していた時…
ノックする音がして、ドアの外から“失礼いたします”という声が聴こえた。
「あ、リロイだ」
部屋に訪ねてくるのは久々で、勢いよく扉を開けると驚いた顔をしたリロイが、ラスのドレス姿を見て手で口元を隠す。
「ねえリロイ、これどう?似合ってる?」
「あ…、は、はい、ラス王女…」
「そんな呼び方しないで!どう?」
「え、いや、あの……か、可愛いよ」
誉めてもらえて飛び跳ねながらリロイを部屋の中に引っ張り込み、ベッドに座った。
金色の髪には白い花のコサージュをつけて、いつも以上に可愛らしくなったラスに思わず見とれると、
窓辺からコハクがこれ見よがしな咳払いが聴こえた。
「パーティーの準備が整ったから迎えに来たよ。沢山知らない人が居るけど、僕が守ってあげるからね」
「うん、ありがとうリロイ。大好き!」
きゅっとラスが手を握ってきて、顔を赤らめたリロイに対して、
コハクは限りなく機嫌を斜めにしながら毒を吐いた。
「“大好き!”の大安売りだな。おい小僧、真に受けるなよ」
「うるさい!ラス、行こう」
「うん」
恭しく手を取って歩き出したリロイに手を引かれ、
その間にコハクは影と影の間を伝って一足先にパーティー会場へと侵入した。
…数百人は居るだろうか。
「みんな飢えた獣の目をしてやがる。チビは俺の花嫁だぞ」
バルコニーで一人呟く。